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ガンの痛み止めの薬、モルヒネについて

大抵のガンには痛みが伴います。すると多くの人はこれに耐え切れず、医者にSOSを求めるのですが、そんな時に出されるのがモルヒネです。

しかし日本でモルヒネというと麻薬というイメージが強すぎて、なんだか悪い印象しかありませんよね。しかし、そんなモルヒネも使い方を間違えなければガン治療における心強い味方となります。

そこで、このページではガンの痛みを止める薬について説明します。

ガンの痛み止めのモルヒネは怖くない

モルヒネ

「がんになると、みんな七転八倒して、のたうち回るくらい痛いんでしょ。モルヒネを使わない限り、痛みは絶対止まらないとか……。でも、モルヒネを使い始めるなんて、末期の末期よね」と言う人がいます。

一般に思われているがんやモルヒネなどに対するこういった見解は大きな誤解です。

がんにかかった方でも、まったく痛みの出ない人もいます。特に、お年寄りの体にできるがんの場合、老化のひとつの形に近いためか、さほど体に悪さをすることもなく、痛みがほとんど出ないケースも多いものです。

若い方でも、あまり日頃から薬を使ったことのない方は、軽い薬で痛みが止まることも多いようです。

モルヒネは正しい使い方をすれば痛み止めとして優秀

麻薬に対する誤解はまだまだ根強いものがあります。医者の中にも麻薬に対して大きな誤解をしている人が少なくないのは、とても悲しいことです。

「最後の最後にしか使えない」「一度使ったら、やめられない」「使ったら命を縮める」「意識がまったくなくなる」「廃人になる」「焼いたときにお骨が残らない」……。

でも、麻薬を何年も使いながら普通に仕事や家事をこなしている人は数多くいますし、一日何千ミリグラムという大量のモルヒネを使っていた人で、あるとき突然痛みが消えて薬がいらなくなった人もいます。

そして、麻薬を使って痛みがとれたことで、体力の消耗が防げて、むしろすっかり元気になり延命効果があった人も多いのです。

もちろん、正しく使えば意識がなくなることもなく、廃人になることもありません。お骨もちゃんと残りますから、大丈夫です。

モルヒネの適正量は人それぞれ異なる

モルヒネなどの麻薬は、エンケファリンという、もともとすべての人間の体内にある物質ととてもよく似た薬なのです。

体に近いものという意味でも、そんなに心配しながら使うことはありません。

また、麻薬は「これ以上飲んではいけない」という限界がなく、人によって効く量が違う不思議な薬でもあります。

たとえていえば、お猪口一杯のお酒ですっかり酔ってしまう人がいるのに、 一升瓶一本空けても平気な人がいるのと似ているでしょうか。

ですから、本人の体質に合わせて量を決める必要があります。使用量としては、症状やそれまで使っていた薬によっても違いますが、最初に使うときは、モルヒネであれば一日10~20ミリグラムくらいから始めることが多いでしょう。

人によっては一万ミリグラムというたくさんの量が必要になる人もいます。

使い方としては、飲み薬、貼り薬、坐薬、点滴、筋肉注射、持続皮下注射など、患者さんの病状に合わせていろいろな方法があります。

モルヒネはうまい医師に投与してもらうのが大事

麻薬ほど、医者の得手不得手が如実にあらわれるものはないでしょう。残念ながら、まだまだ麻薬の使い方のうまくない医師が多いのが現状です。

もし、がんの痛みがなかなか止まらず、「麻薬を使ってください」と医者に言ったところ、医者が使うことを渋り、「命を縮めることになる。呼吸が止まり、意識もなくなって会話もできなくなってしまう」と説明したならば、その医者は間違いなく麻薬の使い方が下手です。

麻薬は上手に使えば命を縮めることもなく、意識も落とさずに痛みをとることができます。

痛みがとれると、今まで以上に元気になる人も多いくらいです。しかし、使い方を間違えれば確かに危険な薬ですので、使い慣れた医者に処方してもらいたいものです。

「最後は痛くなく、楽な生活を送りたい」と望むならば、今の主治医が麻薬をうまく使うことができる医者かどうかを、事前に確認しておくことをおすすめします。

医者には上手に痛み止めの麻薬を使ってもらう

麻薬が上手に使える医者かどうかを確認するには、「具合が悪くなったら、麻薬を使ってくれますか」と聞いてみることです。

「もちろんです。適切な時期に使いましょう」とぃぅ医者なら、まずは安心です。もし、不運にして、「使ってもいいが、呼吸が止まったりするかもしれない」という返事をする主治医にあたってしまい、今さら転院はできない状況に陥ったら……?

そのときは、こんなふうにお願いしてみましょう。

「モルヒネなら1日10ミリグラムぐらいのほんの少しから始めてください」

麻薬を使い慣れている医者であれば、その患者さんの体質や今までの薬の効き具合などを総合的に判断して、各人に合った調節ができるのですが、使い慣れていない医者が調節する場合は、いちばん少ない量から始めるのが無難です。

モルヒネなら1日10ミリグラム(一回量ではありません。 1日平均にならして合計10ミリグラム使うという意味です)であれば、まず、命にかかわるような副作用は出ません。

また、モルヒネが体質に合わない人(吐き気、混乱など)は、このくらいの量でも合わないことがわかることが多いものです。

1日10ミリグラムで効果が十分ではなく、副作用もないようであれば、翌日には20ミリグラムに増やします。

こういうふうに量を調節していけば、モルヒネを使い慣れていない医者でも安全に使えます。

「痛みはとれたけれど、吐き気や眠気が強く出た」あるいは、「いつも同じ量を飲んでいるが、最近眠気がひどくなってきた」というときは、「もう少し薬を減らしても効く可能性があるよ」というサインです。医師に減量を相談してみましょう。

モルヒネより副作用の少ない痛み止めも出ている

近年、モルヒネより副作用の少ない新しい麻薬もいろいろ開発されてきました。

使い方はだいたいモルヒネと同じと考えていただいてかまいません。ただし、フェンタニル・パッチという貼り薬の麻薬は、初めて麻薬を使う人には最少量の2.5ミリグラムでも多いことがぁります。でも、この貼り薬は切って使用することができません。

そこで、吸収量を抑えるためには、まず皮膚に保護テープを貼り、その上からパッチの薬剤浸透面が4分の1~3分の1だけ皮膚に当たるように貼るとよいでしょう。

また、麻薬は八時間置きなら八時間置きと、きっちりと時間ごとに使います。

普通の薬のように、食後服用では麻薬の十分な効果が期待できないばかりか、ときとして危険も伴います。投薬の説明がおかしいなと思ったら、医師や薬剤師に確かめてみましょう。

また、麻薬だけでは痛みがとりきれないときには、普通の解熱鎮痛剤や安定剤などの精神科の薬等を併用することで、良くなることもあります。

ホスピスまたは緩和ケアの専門医に相談してみましょう。

薬ぎらいの人は市販薬を使ってみても

なかには、病院の薬は強いから体に合わないと思っておられる方も少なからずいらっしゃいます。そういう方でも、市販薬なら平気という方も多いようです。

そういった方 は、まず市販薬を使ってみてもかまいません。たとえば、がんの末期でも、それまでほとんど薬らしい薬を飲んだことがない人であれば、バファリンやセデスといつた市販薬でも効く可能性が十分あります。

私の母も大腸がんでしたが、小児用解熱鎮痛剤の坐薬で痛みがすっかりとれていました。

本人がガンの痛み止めを拒否するときは

それでもなかには、頑固な薬ぎらいで、まつたく痛み止めを使いたがらない人もいます。こんな人の心の中には、何かしらの強い思いがあるようです。

たとえば、

  • 「薬はすべて毒である」
  • 「薬を使うなんて、弱い人間だ」
  • 「薬を使わないですんでいるうちは、まだまだ病気には負けない」
  • 「このくらいの痛みは、たいした痛みではない」

など、薬に対して誤解や不安を持っているはずです。こんなときには、薬をすすめても、なかなか素直に使ってもらえません。

こうした場合は、「薬を使いなさい」と無理強いする前に、「どうして、そんなに薬がいやなの?」とまず本人が薬を使いたがらない気持ちに耳を傾けてみてください。

患者さん本人の薬に対する不安や誤解を取り除くことで、薬を受け人れやすくなるでしょう。

それでも頑固に薬をきらう人がいます。そういう人に薬をすすめても、多くの場合、副作用が強く出て十分な効果が期待できないことが多いものです。

また、そういう人にとっては、薬を使って体は楽になっても、「自分の意に反して、薬を使ってしまった」という思いで心はかえって苦しくなってしまうことが多いもの。

看病するほうは、「体が楽になれば、私たちも安心できるのに」と思うかもしれませんが、なかには「心が苦しくなるより、体がつらいほうが楽」と考えている人がいることもわかってあげてください。

薬以外の方法で痛みを止める手も

といっても、こういう人のそばで看病しているのはつらいもの。こんなときは、薬の力だけに頼るのではなく、昔ながらの方法で痛みの介護をしてあげるといいでしょう。

たとえば、鍼灸、マッサージや湯たんぽ(ホカロンでもOK)などで温める、お風呂に浸からせる、など。

こういった昔ながらの方法は、全身の血行や気の流れをよくするので、案外とても痛みが和らいだりするものです。普通の市販の湿布薬などを利用するのもいいですね。

自分が「心地よいな」と感じることであれば、体に害はありませんから、いろいろ試してみることです。

まとめ

  • がんでも痛みが出ないことがある。
  • 麻薬は上手に使えば、痛みを止めて、普通の日常生活を過ごすことができる。痛みが止まれば、やめることも可能。命を縮めることもない。
  • 麻薬を使うことを渋る医者は、使い方が下手な可能性が高い。
  • 麻薬を使うのが下手な医者に当たったら、ごく少ない量から使ってもらう。
  • 病院の薬に抵抗感があるときはまず市販薬を使ってみる。市販薬にも抵抗があるときには、鍼灸、マッサージや温湿布、入浴などを試してみる。

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