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肥満や痩せすぎは癌になりやすい

肥満の人と痩せすぎの人

肥満はガンの発生率を上げることは今や常識です。

その理由の1つは肥満で脂肪組織が増えると、がん細胞の増殖や浸潤、転移を促進する炎症性サイトカインの産生が高まるからです。

さらに肥満によって、インスリンの働きを高める作用を持つアデイポネクチンというタンパク質の分泌量が減ることも問題です

アディポネクチンの分泌量が減るとインスリンの働きが弱まるため、体はそれを補おうとインスリンの分泌量を増やします。

しかし、インスリンはがん細胞の増殖を促進するため、この状況は望ましくないわけです。

実際多くの研究で、血清アディポネクチンの濃度とがんの発生率が相関関係にあることが分かっています。例えば、00年代に発表された血清アディポネクチンの濃度と様々ながんの発生率を調べた研究があります。

これによると、血清アディポネクチンの濃度が高い人ほど、乳がん、前立腺がん、子宮がん、大腸がん、食道がん、膵臓がんといった多くのがんの発生率が減少することが示されました。

なお、アディポネクチンは糖尿病や動脈硬化やメタボリック症候群を予防し、寿命を延ばす作用もあります。

したがって、肥満を解消してアディポネクチンの産生を増やすことは、長寿とがん予防の両方を達成するために大変重要だといえます。

実際、肥満者が体重を減らすと、がんの発生率及びがんによる死亡率が減る ことは、世界中の研究で明らかになっています。

痩せ過ぎは肥満以上にガンに良くないことも

私は同年代に比べてスゴイ痩せてるからメタボも病気も関係ないな~♪

ハイ。確かにこう思う人もいるでしょうが、実は痩せすぎも問題です。実は痩せ過ぎは肥満よりも短命であると、近年の研究から分かってきたんです。

この研究では男女4万4千人をBMI別に下記のように分け、10年以上にわたり追跡調査しました。

  • 18.5未満 痩せ
  • 18.5以上25未満 普通
  • 25以上30未満 太り過ぎ
  • 30以上 肥満

この結果、40歳の人の肥満度ごとの平均余命(残り何年生きるか)は、男女ともに順序は同じでした。

  • 太り過ぎ 男性40.5年、女性47.0年
  • 普通   男性38.7年、女性46.3年
  • 肥満   男性37.9年、女性44.9年
  • 痩せ   男性33.8年、女性41.0年

つまり、40歳時点での人の平均余命は肥満度別にみると「痩せ型」の人が最も短く、太り過ぎの人より、6年も短命という結果が出たのです。

この原因として考えられるのは、痩せた人は免疫力や治癒力が低下した場合、呼吸器感染症などによって死亡する率が高くなるからだろうと、いう説が有力です。

さらに、痩せ過ぎはガンの発生率を高めることも明らかになっています。というのも、厚生労働省のデータによると、男性のがん全体の発生率は、BMIが30以上の人で約20%ですが、BMIが19未満の人だと約30%もあるからです。

この研究結果は肥満よりも痩せ過ぎのほうが、発がんリスクが高い、ということを示しています。

また、痩せ過ぎはがん患者さんの予後も悪くします

理由は、痩せ過ぎだと元々栄養不良を起こしている場合があり、それが免疫力や治癒力を低下させるからです。

若いころどんなに食べても太らない痩せ型の人っていますよね。でも、それは内臓がきちんと栄養を摂取できてない栄養不良を起こしている可能性が高く、中高年以上になって一たび癌になればその特徴は仇となりうるわけです。

そもそも、がん患者の体型は痩せている人の方が肥満の人より多いのは周知の事実です。痩せ体型が原因の栄養不良が再発率や生存期間に与える影響は私たちが想像している以上に大きいようです。

ですからガンの治療後にはご飯をいっぱい食べて栄養状態を良好にして体重も常人レベルまで戻し、「体力」と「免疫力」を高めることがガンの再発防止や延命のために大事です。

アメリカの肥満と痩せのがんリスクの研究

現在日本以外にも多くの先進国では、痩せ過ぎや栄養不足による疾病に対する関心が低い状態にあります。

アメリカで行われた大腸がんで治療を受けた人を対象にした研究があります。

この研究では、BMIが18.5~24.9の正常体重の人に比べて、BMIが35以上の肥満体の人はガンの再発率は1.38倍に上昇していましたが、BMIが18.5未満の低体重の場合、ガンの再発率は上がりませんでした。

痩せ体型の方が肥満体よりガンの再発リスクは低い という結果が出たのです。

ところが、ガンによって亡くなるリスクは肥満の人は1.28倍だったのに対し、何と低体重の人は1.49倍にまで上昇していたのです。

さらに、低体重では、がんを再発する前に別の感染症や別のガンなどで死亡する率が、正常体重患者の2.23倍にもなることが示されました。

つまり、大腸がんに関するこの研究からは以下のことが明らかになりました。

  • 肥満体型……再発が促進されれるので、ガンによる死亡率が高くなる
  • 痩せ体型……抵抗力が下がるので、ガンの再発以外の原因で死亡する率が高くなる

これと似た傾向は乳がんにも見られます。乳がんの場合、肥満体型だと再発率が高まり予後が悪くなり、かといって痩せ過ぎ体型は転移や局所再発のリスクを高めて生存期間を短くすることが分かっています。

ですから肥満が少ない日本の乳がんの現場では、肥満よりも痩せ過ぎのほうが間題といえるかもしれません

ガンを意識するならBMIは適正に保つ

痩せ型・肥満についてあれこれ書きましたが、何はともあれがん予防のためにはBMIを18.5~25の間に維持することが大事ですね。

BMI指数

体重オーバーの人はBMIが25以下になるよう摂取カロリーを減らす↓べきですし、体重減少のあるがん患者さんは食事の量を増やし↑、摂取カロリーが消費カロリーを上回るようにしなくちゃいけません。

摂取カロリーが消費カロリーより少なければ、体は脂肪組織や筋肉組織を分解してエネルギーを消費するためドンドン体重も減ってしまいますからね。

がん患者さんの中には、がんの再発予防や治療のため、極端なカロリー制限の食事療法を実践している人もいます。しかしBMIが18.5未満(痩せ過ぎ)になるような食事制限は、たとえどんなに魅力的に見えても栄養不良や抵抗力の低下のリスクがついて回ります。

したがって、抗がん剤など体力を消耗するがん治療を受けている場合は、食事の内容も大事ですが、それ以上に体重を減らさないことを意識すべき だと思います。

基礎代謝とガン

ちなみに、人間は何もせずじっとしていても、生命活動を維持するためにカロリーを消費します。これを基礎代謝量と呼びます。

基礎代謝量は、体格が大きいほど大きくなり、また、同じ体重でも筋肉量が多い(体脂肪率が低い)人ほど大きくなります。

基礎代謝量は同じ身長・体重でも高齢になると低下しますが、これは、高齢になると筋肉量が減少するからです。

ですから常日頃から筋トレや運動に励むことは、免疫力を上げるという意味だけでなく、基礎代謝を上げるという意味でも癌対策に役立ちます。

どの栄養素からどの程度のカロリーを摂るべきか

では、私たちはどのような栄養素から、どのくらいの割合でカロリーを摂取すればよいのでしょうか? 3大栄養素の1gあたりのカロリーは、炭水化物とタンパク質が4kcal、脂肪が9kcalで計算されます。

つまり、炭水化物は100g食べれば400kcal。脂肪なら100g食べれば900kcalを摂取したことになります。

現代栄養学では、摂取カロリーから計算した3大栄養素の好ましい摂取比率として、炭水化物からが60~65%、タンパク質からが10~20%、脂肪からが20~25%という数字が提唱されています

すなわち、例えば体重60キロの男性で、1日に摂取すべきカロリーが約2400kcalだとすると、好ましいバランスは以下のようになります。

  • 炭水化物 1440~1560kcal(360~390g)
  • タンパク質 240~480kcal(60~120g)
  • 脂肪    480~600kcal(53~66g)

ちなみに、日本食は元々この割合に近いので、世界的に見ても健康食と言われているわけです。

ただし、がんの予防や治療の観点からは、炭水化物(糖質)の摂取量をもっと減らすべきだという意見もあります。

また、タンパク質は細胞を構成する成分や酵素などの材料として使われます。ですからガンの治療中は、回復力や免疫力を高めるためにもタンパク質の摂取量を多めに設定して、体重1kgあたり1.5~2.5gを毎日摂取するようにすると良いでしょう。

最期に、脂肪は摂り過ぎると動脈硬化やがんを促進することから、一般的にはあまり良いイメージを持たれていません。

しかし、脂肪にはがんを抑制する脂肪とがんを促進する脂肪がありますので、がんを抑制するω‐3系不飽和脂肪酸を含む青魚などは積極的に口にしたいところですね。

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